日々の読書

日々、つれづれなるままに読んだ本の、感想おきば
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35歳の中年男が、アル中で入院し、病院でいろいろな患者や医師に出会い、また、アル中について考察するハナシ。
作者の実体験がかなり入っているらしい。

中島らもの文章は、飄々としていて乾いている。
だから悲惨なハナシもあまり生々しくなく、ドライな感じが読みやすい。
アル中の男についても、どこか他人事のような描写。アル中についての考察がまたドライで、それゆえに的確で面白い。作者がアル中だった時またはその後に、きっと、こんな事をどこか他人事風に、でも緻密に調べたり考えたりしていたんだろうなあ。

主人公は、不安やイライラを感じると、「酒をいま飲んだら・・」と考える回路ができている、と自覚する。
『精神病理学で言えば報酬系の回路が確立されてしまっているわけだ。(略)
酒をやめるためには、飲んで得られる報酬よりも、もっと大きな何かを「飲まない」ことによって与えられなければならない。
それはたぶん、生存への希望、他者への愛、幸福などだろうと思う。』

『人間はそれでいいのではないか。名前すらなく、飲んで飲んで飲みまくったあげく目詰まりした「アルコール濾過器」として、よく燃えて骨も残さない。きれいさっぱりとした「具体」であって何がいけないのか。どうして人はアル中であってはいけないのか。えらそうな「人間」でなくてはならないのか。』

作中で、久里浜式アルコール依存症スクリーニングテストというのがあり、
-5点以下:まったく正常
-5~0点:まあまあ正常
0~2点:問題あり
2点以上:きわめて問題多い
という判定で、主人公は12.5点。
私もやってみたら、3点。うーむ、「きわめて問題多い」のだろうか。

酒つながりで、この本にも、「「サヨナラ」ダケガ人生カ―漢詩七五訳に遊ぶ」で読んだ詩が出てきた。奇遇だ。この詩もとても好き。
「勧酒」という漢詩を、井伏鱒二が“戯訳”したもの。

この杯を受けてくれ
どうぞなみなみつがしておくれ
花に嵐のたとえもあるぞ
さよならだけが人生だ
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