日々の読書

日々、つれづれなるままに読んだ本の、感想おきば
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文:○

司馬遼太郎作品の中では、特にすごく面白くもつまらなくもない作品。
義経ヒーローものを期待するとちょっと違う。

司馬遼太郎の人物の描写は相変わらず見事!読み進むうちにどんどん義経が見えてくる。それは「こういう人」と決定的な形容詞で表すのではなく、さまざまな出来事に対する彼の動き、考え、表情、それらを何度も繰り返し描くことで、私の身の内に、「義経」像が積み上がってゆく。

この本では義経は、超・可憐。政治的には全くバカで子供。義経の最期を知りながら読むので、彼の未来を思い、描かれる子供らしさがしっくりくるし、痛々しく感じる。

中世、美しく生きたい、生涯を美化したい、ただそれだけの衝動で十分に死ぬ事ができる時代。
頼朝は、美しく生きるだけではない、その陰険さが、義経の可憐さに比べて際立つ。頼朝は近世に生きる人として、対比的に描かれている。

反面、義経は戦だけはめっぽう強くて、そのギャップが面白い。なぜ強いのか?という説明も、司馬遼太郎の説明はすごくわかりやすい。
個人が武勇を尽くして戦うことで、全体の勝敗が決するのが当然だった「合戦」に、組織で戦う事、「戦術」を取り入れた天才。そう描かれる。
馬というものは「乗って一騎打ちで戦うためのもの」、という固定観念を破り、馬の機動性を生かし、「全滅を覚悟した長距離活動と奇襲」という戦術思想を持ち込んだ先駆者。ひよどり越えに代表される、馬の使い方が実に鮮やか。

騎馬兵の使い方・・・てどこかでも読んだような・・・と思ったら、日露戦争を描いた名作「坂の上の雲」でも出てきていた。
「日本騎兵の父」と呼ばれた秋山好古が、フランスの士官学校で、騎兵について学んだ時、教官にこう言われた。

騎兵の任務は、機動性を生かして本軍から離れ、集団で敵を乗馬襲撃することである。しかし、事前に敵に発見されれば、目標が大きいだけに脆いという欠点がある。だから、「天才的戦略家のみが騎兵を運用できる」のであると。
凡人は騎兵の欠点を恐れ、ついに最後まで温存したまま使わない。 この教官曰く、古来における天才的戦略家とはの4人だけである。

モンゴルのジンギスカン
フランスのナポレオン一世
プロシャのフレデリック大王
プロシャの参謀総長モルトケ

「日本にそういう天才がいるかね」と聞かれた好古が、ひよどり越えの源義経、桶狭間の織田信長の名前をあげて戦法を説明すると、教官は何度もうなずき、「以後6人ということにしよう」と訂正する。

時代をこえ、本をこえて、こういうつながりを発見したとき、ちょっと嬉しい。

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