日々の読書

日々、つれづれなるままに読んだ本の、感想おきば
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しゃばけシリーズ7作目。
母上が買ったハードカバーをもらいうける。
自分では文庫本しか買わないため、5作目「うそうそ」6作目「ちんぷんかんぷん」は未読のままだ。
おなじみ登場人物なので、2冊くらい間が抜けていても問題ない。

どうも今回は物足りなかった。
小事件が起きて、若旦那がそれに関わって、妖たち大げさにとんちんかんな世話をやいて、全体的にのほほんとした、それだけで終っているような・・・その雰囲気がこのシリーズのよさなのだが。
飽きてしまったのか、染み入るような感動が物足りない。期待感が大きいのか。
料理と同じで、本の味も、読んだタイミングで変わるから、また別の機会に再読したら印象も変わるかもしれない。

「餡子は甘いか」
という話が、唯一じんわり来た。

若旦那の幼なじみで和菓子屋の跡取り息子・栄吉は、天才的にあんこ作りがヘタ。でも菓子作りは大好きで、いつか・・・!とへこたれずに修行の毎日。
しかし全然上達しない。
そのさなか、何度も何度も、「自分には才能がないのでは?」「こんな事をやっていて生活していけるのか?稼げるのか?」とリアルな悩みを持ってしまう。
自分の努力が報われない時に、人にそれを指摘されれば、それはヘコむ。
それでも健気に『諦めたらそのとき、おしまいになる。己を疑うな。大丈夫だ。』とがんばっていても、諦めたら駄目だとわかっていても、どうしても頑張れない時は、ある。
それは、自分が苦労している横で、大して苦労もせずラクラクとそれを達成し、周りの人にもそっちが評価されてしまった時。

それでも、栄吉は立ち直った。
そして最後は、菓子の師匠にも認められた。
『何事に付け、やり続ける事が出来ると言うのも、確かに才の一つに違いないんだ。お前さんには、その才がある』
『結局、(器用にこなして上手にできるようになる人よりも)修行の先にある菓子作りの面白みを知るのは、お前さんの方かもしれねえなあ』

山岸涼子のバレエマンガ「アラベスク」を思い出した。
ロシアの田舎バレエ学校の落ちこぼれ生徒だったノンノ。秘めた才能を見出され、バレエ界をかけ上がる。そこで出会ったライバル、天才少女ラーラ。
ラーラが一度で踊れるものを、努力型のノンノは、何度も何度も叱られ、苦しみ、悩んで練習また練習。この2人が勝負して、ノンノがきわどく勝利するが、ラーラはあっさりバレエをやめる。
あれだけ才能があるのに・・!と憤りすら感じるノンノに、ある人が、石にかじりついてでも得たモノを、人は決して手放さないが、苦なく手にしたものは、惜しいと思わず捨てることができるのかもしれない、と言う。

あきらめて努力し続けても、達成できない事はある。
人生は有限なのだし、だから簡単に、「あきらめるな」というのが良いとは限らないけれど、でも、しゃばけシリーズでは、これでよいと思う。この本は、そういう美しさを持ち続けてほしい。
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