日々の読書

日々、つれづれなるままに読んだ本の、感想おきば
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この人のマンガはあまり好きではないのだが、この作品と「MASTERキートン」は好きだ。

主人公は、アメリカ海兵隊出身で、元傭兵の日系人、ジェド・豪士。
ぼんやりした外見とは裏腹に、ベトナム戦争では英雄と呼ばれ、世界で五指に入るといわれる戦争のプロ。
現在は、CMAという民間軍事援助組織で、素人に戦闘を教えるインストラクターをしている。

20~30ページの短編で、彼と、その依頼人や、敵、かつての傭兵仲間との悲喜こもごものドラマが小気味よい展開で繰り広げられる。マンガならではの起承転結の進め方や戦闘シーンのうまさが際立つ名作。

第1話では、父親を殺され、その相手に命を狙われる四姉妹を支援する。
12人に断られた圧倒的に不利な依頼だが、豪士は淡々とそれを受ける。
7階建てのビルに姉妹を連れて立て籠もり、小型サブマシンガンを渡し、戦い方を指導する。

末の妹が常に持ち歩いているウサギのぬいぐるみを落とし、ぐずっているシーン。

「何をしている!?なぜ命令どおり後退せんのだ!?」
「こ・・・・・・この子、手榴弾と間違えて、ウサギ、投げちゃって・・・・・・」
「んなものどーでもいい!!」
「よくない!!ラビちゃん置いてくなら、あたしも行かないもん!!」
「くそ!!」「俺が取ってくる。全員三階へ後退していろ!!」

豪士は1人敵の中につっこんでヌイグルミを手に戻ってくる。

「すみませんでいた。妹のために・・・
「誰にだって命より大切なものはある!!」

この短いシーンで、豪士の戦闘能力の高さ、ぶっきらぼうながら底にある人間的な暖かみが表されている。
また、読み進めるうちに、数々の過酷な戦闘と辛い体験をしながら、豪士は、生命力にあふれ、どんな時も最後まであきらめず、少年のように人生を愛する心を忘れない、という事がわかり、そこにまた惹かれる。

空港に仕掛けられた爆弾を優秀な爆弾処理犬と協力して探す「ドッグ・ウォッチ」
女スナイパー・シャルロットとの出逢いを描いた「戦場に咲く花」
かつての上官、ハリデー准将の除隊記念日の物語「ロンリー・ソルジャー」
豪士が、少年のように人生を愛しているのが実感できる「湖上の男」

などなどの名作がちりばめられた贅沢な6冊。

最後はヨーロッパ全土の壊滅をもくろむテロリストと戦い、その終わり方は呆気なくてやや物足りないが、全てが終わった後、CMAの事務員が4姉妹がプロの殺し屋と戦うという依頼を豪士にふろうとしており、実は最終話が1話目につながっているところがまた憎い。

マンガとして完成度が高いと思ったのは、6巻の「ラスト・オーダー」。

冒頭は、イギリスのパブ。入り口から一人の男が入っていくところ。
男の名は、フランツ・ネフ。
中では弁護士と豪士が彼を待っており、プリチャードなる人物が彼に5万ポンドの遺産を贈る遺言状を残したことを告げ、サインを求める。が、彼は
「その汚い金は、受け取れない!!」
と断り、プリチャードを激しく罵り、2人の出会いと訣別を語る。
訣別シーンでプリチャード氏からフランツに氷のような声で言い渡された、「最終決定(ラスト・オーダー)」がタイトルにもなっている。

語り終えたフランツに、豪士は、彼が知らなかった真相を語り、フランツは店を飛び出し、ある場所へ向かう。

静かになった店内で、店のマスターがもう閉店だが、最後の注文(ラスト・オーダー)は?と聞いてくる。
互いにおごりあおうという豪士と弁護士に、「いや・・・・・・今日はいい日だった。」と言うマスター。
「ラスト・オーダーは私のおごりです。」の台詞に、冒頭と同じく店が描かれ、そこには雪が降り始めている。

最初と最後が同じ店の絵で、けれどラストでは雪が追加されているのが効果的で、タイトルの「ラスト・オーダー」に2つの意味があり、ラストのじんわりした終り方も心地よい。


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