日々の読書

日々、つれづれなるままに読んだ本の、感想おきば
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のどかな昼下がり、主人公がいた新宿の公園で突然の爆発。
誰が、何の目的で?
主人公は、ただのくたびれたアル中の中年男かと思いきや意外な過去があり、その過去がからんで青春の匂い。

あれよあれよと登場人物がつなかったり、主人公が真相にたどりつく過程がご都合主義な感もあり、結末は想像できたり、台詞まわしが不自然だったり、リアリティーには欠けていても、それらは、この本の魅力「いかにもなハードボイルド」を楽しむ邪魔にはならずむしろスパイス。

「のんき」と評される主人公の乾いた感じ。
のんびりだるそうに見えて自分の哲学を曲げない、アル中で全てを諦めきってどうでもよさそうで最後の筋を通していて、礼儀正しく、人を大切にし、呑み込みが早く、知識豊富で行動力があり、時々抜けてる、という魅力。

主人公は、わずかな手掛かりですぐ何かを察し、読者は置き去り。
こいつはどこで何に気付いていま何を調べてるんだ?と関心もったまま読み進む。
お約束のように、この男に惚れる女との、これまた渋い恋愛模様。

奇妙で渋い中堅ヤクザ組長の浅井とのからみも、よい。
わざとらしいくらいかっこいいセリフが恥ずかしくない。

事件の真相が薄皮を剥ぐように明らかになるミステリー的な楽しみと、この男たちの渋さを堪能するハードボイルドな楽しみと、を楽しめる名作。

主人公が、バーで客に出すために作るホットドッグが実に美味しそうで、家でも作ってみた。美味しかった。
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異国暮らしの長い語り手の男性「私」と、様々な国籍の女性との出会いや交流を描いた六つの短編。

「私」の名前は出てこず、全編を通して同じ人物かどうかも語られないが、どことなく受け身で、醒めてはいるが見知らぬ人とそつなく知り合いになる無邪気さも有るというキャラクターは同じ。

各女性の外見・雰囲気・性格が編ごとに様々。
「私」との静かなやりとりを、品のよい骨董品を丁寧にさわるように一文字一文字をゆっくり読みたい。

終わり方はどれも曖昧で最初は中途半端で物足りないが、次第にその余韻もまたよしか?と思えてくる。

終わり方が特に印象的なのは、表題作「ゼラニウム」。
階段の薄暗い一角に置かれた真っ赤なゼラニウムが、老婦人の唇へつながり、鮮やか赤が頭に残って終わる。
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