日々の読書

日々、つれづれなるままに読んだ本の、感想おきば
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雑誌「つり丸」に連載された、椎名誠とその仲間たちの釣り紀行。

仲間と体力抜群の若い奴隷たちを引き連れ日本各地に出かけ、雑魚を釣って、キャンプして、夜は騒いで焚き火をしながら踊ったり叫んだり、とりとめなくバカ話をしたり、中毒死しそうになったり。

「真剣に遊ぶいい歳した大人たち」は見てて気持ちいい。
スパンスパンと進む文章が楽しく、この1冊は立派な娯楽だった。

千葉で釣りをしている最中に2人の少年に出あったシーンでの椎名誠の感想が印象にのこった。

少年たちはマナイタとナイフで小魚をさばいて刺身にして弁当のおかずにしている。
それを見た椎名誠は、

『マージャンに負けてあらゆる敗北感にひたっていたおれはその光景を見て日本の未来に一縷の光を感じた。我ながらどうもいうことが大袈裟だが、しかしこうして自活の技術を持っている子供がまだいたのだ。
おれは仕事がらみで世界のいろんな国へ行くが、多くの国で感心するのが子供たちのサバイバル能力の高さだった。(中略)手製の銛をもって十メートルぐらい潜っていって五十センチぐらいのナマズを突いてくる少年などを必ず見かけ、日本のひ弱なガキどもとの差に嘆いていたのだった。
しかし千葉にはまだこういう子供がいるのだ。』

少年たちは、母親からは海に行ってはいけないと言われており、バレると怒られる、という。

『日本にサバイバル少年がなかなか育たないのはこういうひ弱な親がからんでいるからなのかもしれない。』
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ある日、ある町の住人がごっそり消滅する。
それは『町』と呼ばれる何らかの大きな意思によるもの。
管理局という国家組織はそれに対抗すべく、消滅について調査し、次の消滅を予測し、防ごうとする。

「消えた人々の事を悲しむと余滅が起こるため禁止」とか「消えた町の名前が入った書籍や書類は全て削除する」とか「消えた町に関わると汚染を受ける」とか、町の消滅というあり得ない現象について細部まで設定されている。
国に関しても、そこは日本のようで日本ではないようで、「西域」と呼ばれる外国や、西域の人々が暮らす「居留地」があり、居留地の民にはこれまた独特の掟やら文化があるのが垣間見える。
ここまで「ありそうでない」世界を作り上げるのはすごいが、細かく作り上げられた世界が、前に呼んだ短編集「バスジャック」だと楽しめたが、長編だと食傷気味になってしまった。

理不尽に突然大切な人を失った人々や、管理局に籍を置き町と壮絶な戦いをする人々のヒューマンドラマは実にドラマチックだが、登場人物たちの台詞や行動も、いかにも、という感じで飽きてしまうし、出てくる人同士があれよあれよという間に繋がる展開もややわざとらしくて楽しめなかった。
映画にもなった話題作。
続きが気になって気になって、一気に読んでしまった。

とある田舎の中学校で、終学式の後に担任の女教師が生徒たちに語りかけているのが始まり。
私の娘は事故死ではない、このクラスの生徒に殺された、と。


生徒達が毎日飲んでいる牛乳。
女教師の身の上話。
他クラスの男教師が女生徒に呼び出された話。

話はあちこちにとんで、とりとめがないように見えるのに、実はその1つ1つが大事な伏線。
語り口はあくまで淡々とし、それがもどかしくてイライラするが、最後に犯人に告げた内容で、静かさが怖さを引き立てる。
全て女教師のモノローグで、話を聞く生徒達の反応も教師の語りの中にしか出てこない。
衝撃的な告白に生徒達が騒ぐシーンも間接的にしか表されず、モノローグの穏やかさが、穏やかな怖さが一貫して乱れない。
こういう書き方、うまいと思う。

その後、生徒の1人、犯人、犯人の家族…とモノローグが続き、女教師の告白だけで十分物語が完成してると思ったのに、事件はさらに深掘りされ、さらに物語も進み新たな事件も起こってゆく。

が、読後感が悪いのと、読者を置いてけぼりにするようなクールな進み方で、再読したいとあまり思わない。

何度も読み返したいと思うのは、閉じてから、幸せとか人間の強さをしみじみ感じるような本だ。
この本はラストも後味が悪い。
物語としては、意外性があり、かつ、これまでの話も生かされたよいオチだが。


各モノローグを見ていくと、同じ出来事に対して各関係者が、全く違う感じ方をしているのが面白い。
ある人の行動の理由を「こうだ」と思ってそれを裏付けるような事実がいくつもあっても、当人のモノローグでは全く違う理由が書かれている。
そのズラし方はうまい書き方だと思った。
この人のマンガはあまり好きではないのだが、この作品と「MASTERキートン」は好きだ。

主人公は、アメリカ海兵隊出身で、元傭兵の日系人、ジェド・豪士。
ぼんやりした外見とは裏腹に、ベトナム戦争では英雄と呼ばれ、世界で五指に入るといわれる戦争のプロ。
現在は、CMAという民間軍事援助組織で、素人に戦闘を教えるインストラクターをしている。

20~30ページの短編で、彼と、その依頼人や、敵、かつての傭兵仲間との悲喜こもごものドラマが小気味よい展開で繰り広げられる。マンガならではの起承転結の進め方や戦闘シーンのうまさが際立つ名作。

第1話では、父親を殺され、その相手に命を狙われる四姉妹を支援する。
12人に断られた圧倒的に不利な依頼だが、豪士は淡々とそれを受ける。
7階建てのビルに姉妹を連れて立て籠もり、小型サブマシンガンを渡し、戦い方を指導する。

末の妹が常に持ち歩いているウサギのぬいぐるみを落とし、ぐずっているシーン。

「何をしている!?なぜ命令どおり後退せんのだ!?」
「こ・・・・・・この子、手榴弾と間違えて、ウサギ、投げちゃって・・・・・・」
「んなものどーでもいい!!」
「よくない!!ラビちゃん置いてくなら、あたしも行かないもん!!」
「くそ!!」「俺が取ってくる。全員三階へ後退していろ!!」

豪士は1人敵の中につっこんでヌイグルミを手に戻ってくる。

「すみませんでいた。妹のために・・・
「誰にだって命より大切なものはある!!」

この短いシーンで、豪士の戦闘能力の高さ、ぶっきらぼうながら底にある人間的な暖かみが表されている。
また、読み進めるうちに、数々の過酷な戦闘と辛い体験をしながら、豪士は、生命力にあふれ、どんな時も最後まであきらめず、少年のように人生を愛する心を忘れない、という事がわかり、そこにまた惹かれる。

空港に仕掛けられた爆弾を優秀な爆弾処理犬と協力して探す「ドッグ・ウォッチ」
女スナイパー・シャルロットとの出逢いを描いた「戦場に咲く花」
かつての上官、ハリデー准将の除隊記念日の物語「ロンリー・ソルジャー」
豪士が、少年のように人生を愛しているのが実感できる「湖上の男」

などなどの名作がちりばめられた贅沢な6冊。

最後はヨーロッパ全土の壊滅をもくろむテロリストと戦い、その終わり方は呆気なくてやや物足りないが、全てが終わった後、CMAの事務員が4姉妹がプロの殺し屋と戦うという依頼を豪士にふろうとしており、実は最終話が1話目につながっているところがまた憎い。

マンガとして完成度が高いと思ったのは、6巻の「ラスト・オーダー」。

冒頭は、イギリスのパブ。入り口から一人の男が入っていくところ。
男の名は、フランツ・ネフ。
中では弁護士と豪士が彼を待っており、プリチャードなる人物が彼に5万ポンドの遺産を贈る遺言状を残したことを告げ、サインを求める。が、彼は
「その汚い金は、受け取れない!!」
と断り、プリチャードを激しく罵り、2人の出会いと訣別を語る。
訣別シーンでプリチャード氏からフランツに氷のような声で言い渡された、「最終決定(ラスト・オーダー)」がタイトルにもなっている。

語り終えたフランツに、豪士は、彼が知らなかった真相を語り、フランツは店を飛び出し、ある場所へ向かう。

静かになった店内で、店のマスターがもう閉店だが、最後の注文(ラスト・オーダー)は?と聞いてくる。
互いにおごりあおうという豪士と弁護士に、「いや・・・・・・今日はいい日だった。」と言うマスター。
「ラスト・オーダーは私のおごりです。」の台詞に、冒頭と同じく店が描かれ、そこには雪が降り始めている。

最初と最後が同じ店の絵で、けれどラストでは雪が追加されているのが効果的で、タイトルの「ラスト・オーダー」に2つの意味があり、ラストのじんわりした終り方も心地よい。


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