日々の読書

日々、つれづれなるままに読んだ本の、感想おきば
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
タイトルの通り、ノーベル賞受賞者である、マリス博士が、ユーモアたっぷりに奇想天外な人生について語る本。
奇想天外なのは、人生というより、マリス博士だ。
タイトルは、「奇想天外なマリス博士の人生」でもいいと思う。

マリス博士がノーベル化学賞を受賞したのは、DNAの特定の部位を短時間で大量に作る技術(PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法)を発明したから。
この技術については、「生物と無生物のあいだ」に書かれていた説明がわかりやすい。

DNAの研究を進める上で、たくさんのDNAを簡単に作る技術は必須だったが、なかなか発明されなかった。
それを、画期的な方法で発明したのがマリス博士だ。
それも恋人と夜中にドライブしている最中に思いついたという伝説つき。

博士は、サーファーで、女好きで、奥さんは4人目で、LSDの体験も赤裸々に語るし、どこかの研究室に教授としておさまることもなく、とても自由な人だ。
その博士が、身の回りの出来事をつれづれに語った本。
1本の筋が通った何かを訴えるようなものではなく、つれづれでまとまりがないが、そのどれもがとてもユーモラスで、面白い。
それは、あるがままを書いてあって、また、博士の好奇心が旺盛で、興味を持って考えた事に対して、緻密で深い考察を書くから。
女性関係もすとんと正直に書いてあって面白い。たとえば、2人目の妻との別れについて。
『しかし結局、彼女は私を棄てて出ていってしまった。まあ、どこにでもある話だし、このこと自体はそれほど気にしていない。しかし当時は事態をのみこむのに三ヶ月を要した。』

博士は、子供の頃から寛大な母親の元で、危険な実験を繰り返していた。
クリスマスプレゼントに選んだ化学実験セットや、地元の薬局で買い揃えた材料で火薬作って爆発させたり。
『試験管が割れ、突然、大音響とともに炸裂した。こいつはすごいや。私は七歳だった。実際、そのとき何が起こったのかは分からなかった。でも、サイエンスとはおもしろくなきゃいけない、ということが分かった。』
この時にわかったことを、博士は今でも実践している。
科学を、とても楽しんでいる。
人生も楽しんでいる。

私は化学の道を志して大学に行ったものの、「何でみんな休みもつぶして夜遅くまで実験しているんだろう?」と疑問に思って挫折したけれど、それは化学を楽しんでいなかったから。
博士の楽しみ方は、すごくうらやましい。
スポンサーサイト
どうも、賛否両論がわかれる本らしい。
私は、面白かった。
生物の専門家が、生物と無生物を分ける定義が新しく示されるのを期待して読むと期待外れなようだ。
また、全く生物に興味がない人が何の苦もなく読み進められるほど簡単でもない。


内容のほとんどは高校の生物の教科書に載っていた内容だが、それを、情熱をこめて語られるのが楽しい。
高校の時、こんな風に「生物」を習っていたら、生徒達は、「生物」を面白いと思えただろう。
生き物の仕組みはすごい、と改めて思った。
発見した科学者たちの苦労話や努力やの人間味あるエピソードもあり、生物学者の研究生活ぶりがちらほら出てくるのも、まったく違う分野の世界を垣間見ることができて新鮮だった。

生物と、無生物は、どこで分かれるのか?
生物の定義とはなにか?

高校で習ったのは、「自己複製するもの」が生物、という定義。
この本でも、その定義は最初に出てくる。

その他に、著者が、生物の定義としてあげているのが、
・構成する分子が、つねに外から新しく供給され、入れ替わっている
・その中には、不可逆な時間が流れている
という2点。

2点目の方、著者の言葉で書くと、

『生物には時間がある。その内部には常に不可逆的な時間の流れがあり、その流れに沿って折りたたまれ、一度、折りたたんだら二度と解くことのできないものとして生物はある。生命とはどのようなものかと問われれば、そう答えることができる。』

とてもロマンチックな書き方。
この人の文章は、自然科学のふるまいにロマンを感じて理系に進んだころの気持ちを思い出させる。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。