日々の読書

日々、つれづれなるままに読んだ本の、感想おきば
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まるで老人のように覇気がなく、平和で穏やかに暮らす夫婦。
何の波乱もない二人の地味な生活。それでも互いに思いやり、地味な幸福が感じられる。
風流と言えば、言えなくもない、静かな生活が、だらだらと単調に描かれる。

夫の宗助はとにかく事なかれ主義で、弟の小六の学費について、親戚と話し合わなければならないのを、いつまでも放置しておいたりする。
弟は不甲斐ない兄に腹を立てる。

そこで宗助が、そんな小六を見て、自分も若い頃は血気盛んだったと思い返すシーンが印象的。
こういう気持ちは誰にでもある。
昔、言った事、考えた事が、いま思うと「あの頃は若かったなー」と懐かしく思うような時。
若い頃の自分が遠くて、その延長がいまの自分である事が、つながらないような。
切なさと、穏やかな満ち足りた感じが半々な。

しかし、この本、物語として面白いのか?と問われると・・・
単調で眠くなる。
結局最後まで何も起こらない。
途中、何度も挫折しそうになった。

だからこそ最後のセリフは、その後の波乱を予感させるようで無気味。
それを味わうためのひたすらの単調なのだろうか?

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刑務所から出所したばかりのスリ常習犯、辻牧夫は、電車で見かけた、高校生のスリ集団を追い、怪我を負う。
それを助けた占い師の昼間薫と、偶然の交流が始まる。
辻がその高校生たちを探し、正体を突き止めようとするのがストーリーの中心。

ストーリーがすごく面白い!というのでもないのだが、登場するキャラクターたちが多種多様で魅力的。
そのキャラクター達がからまりあってゆく様に見とれて引き込まれてしまう。

その中心をなすのが、2人の人物。

昔かたぎで腕利きのおじいちゃんに磨かれた腕を持つスリ、辻牧夫。
物語の冒頭で刑務所から出所したばかりという犯罪者なのだが、人なつこく、飄々としていて、スリなりの正義感や任侠のようなものがあり、憎めない。

栗色の長髪、白い肌、男性だが、全体的に華奢で淡い雰囲気の占い師、昼間薫。
反面、ギャンブル好きで、したたかでもある。
お堅い弁護士の父・姉・親友に囲まれて、それに反発するようにフラフラしてモラトリアムであろうとする。
神がかった能力があるわけではなく、占いにイカサマを使ったりもするが、、そこはかとなく神様を信じているところがあって、穏やかなしゃべりかたや容姿とあいまって「占い師」という職業がよく似合う。

どちらもほのかに色気があって、大変に魅力的だ。
どちらも自分の仕事に誇りと責任を持っていて、またそこがいい。
彼らの仕事について語られるシーンが多く、それが面白い。

辻の職人的なスリの技とか、チームでやるスリの見事さとか、犯罪なんだが、かっこいいと思ってしまう。
昼間は、人の話を聞く能力に長けていて、寒い夜も街に出て、言葉を胸にためこんだ人々から、ただその言葉を聞いて、受け止めている。それが自分の仕事だと思っている。
昼間に話を聞いてもらうと、楽になる、というお客は多い。

エピローグ。この2人が会話をしているシーンで、昼間が辻にタロットカードを渡しながら、
「タロットの歴史は非常に古いのです。」
と、説明するところがある。それを聞いて辻が
「泥棒の歴史も古いね。占い師も」
と答える。ここで2人のここまでの交流や、それぞれの仕事への想いを思い出し、またそういえばどちらもかなり特殊だけど歴史のある職業だな、という納得感があり、印象的。
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