日々の読書

日々、つれづれなるままに読んだ本の、感想おきば
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このあと、「玻璃の天」、直木賞受賞作「鷺と雪」と続くシリーズ一作目。

舞台は、昭和7年の日本。
太平洋戦争前の不安定な時代、不自由な社会。


そんな中、士族出身の上流家庭で、しかしのびのびと育った令嬢の元に、新しいお付きの運転手がやってくる。
この時代には珍しく、女性の運転手。
宝塚を彷彿させる、流麗な容姿、颯爽とした身のこなし、控え目で言葉は少ないが常に鋭い。とにかくかっこいい。

令嬢は、北村薫の本でよく見かけるような、素直でいい子。
まだ10代半ばで不自由なく育ったのに、思慮深く聡明なきらめきが見えて、本好き。
運転手のあだ名を「ベッキーさん」と名付ける。
サッカレーの長編小説「虚栄の市」に出てくる才気豊かな主人公の名前だ。

ベッキーさんのさりげない助言で、令嬢が謎ときする短編集。
身分格差など社会の理不尽さに少しずつ対面していきそうな雰囲気。
それに伴う、令嬢の成長が楽しみなシリーズになりそう。
謎とき自体は、わりと地味だ。
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タイトルの「紙婚式」とは、結婚1年目のこと。
この呼び名は、2年目「藁婚式・綿婚式」、3年目「革婚式」・・・25年目「銀婚式」50年目「金婚式」と、だんだん硬くて確かなものになってゆく。

この短編集では、夫婦間の微妙な関係を、様々なケースで描いている。
薄くて脆くて破れやすい「紙」にたとえたタイトルは絶妙だ。

山本文緒は、重い話も、ドロドロには書かないので、さらりと読める。読み終わってから怖かったと改めて感じる。
重いシーンをさらりと書くのうまい人だ。
軽すぎると上滑りになるが、そうではない。軽いひっかかりを覚えるくらいの重さが、ちょうどいい。

夫婦は、初めは他人。
恋愛して相手を知りたいと思って、何度も会って色んな話して知り尽くしたと思って結婚すると、寝食を共にしてるのにだんだん空気みたいな存在となる。
それでも、ある時ふと、相手の事を実はあまり知らない事に気付く。
それは、いたって日常的だけれど、けっこう怖い事だ。

夫婦に限らないが、どんな濃密な人間関係だって、相手の事を100%わかることはない。
愛情もオールマイティーではない。夫婦だから、恋人だから、家族だから、という理由だけでは愛情は続かない。
互いに努力しないと壊れるものだ、という事を、思い起こさせる。
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