日々の読書

日々、つれづれなるままに読んだ本の、感想おきば
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
キャラ:◎

精神科医・伊良部シリーズ3作目。このシリーズは安定して面白い。
この面白さは、やっぱり伊良部というキャラクターの魅力が大きい。このキャラにはムカつくけど、結局バカバカしくなって笑えてしまって憎めない。

3作目ともなると、すっかりなじんでしまい、患者が診察室のドアをあけると、読む前にもう、耳に「いらっしゃーい」と言う伊良部のデブっぽいちょっとモゴモゴしたかん高くて軽い声が聞こえてくる。

 ・オーナー
 ・アンポンマン
 ・カリスマ稼業
 ・町長選挙

の4編を収録。

伊良部以外にも、それぞれの編で伊良部に診てもらう事になる主人公たちが、個性ゆたかで生き生きとしているのも魅力的。
今回の「オーナー」「アンポンマン」「カリスマ稼業」では、実在の有名人物のパロディとなっていて、ああ、コレあの人か、ココがパロディだな、という点も楽しめるし、4編それぞれ、クライマックスがハッキリしていて、主人公達の魅力を十分味わった後で、感動ドコロもストンと胸に落ちる。

デブ中年だが、アホでいつまでも子供のように素直でワガママな伊良部に調子を狂わされて、プライドの高い主人公たち、伊良部に振り回されて次第にバカらしくなって素直に自分と向き合えるようになる過程が、面白い。
毎度同じパターンなのに、何故か楽しい。

4編目は前3編とちょっと趣が変わって、伊良部がいつもの病院を出て、東京都の離れ小島に赴任し、そこで町長選挙というバカバカしくアツい戦いに巻き込まれる。
小さな島の島民たちが、にぎやかで元気がよくて、読んでて楽しくなるニギヤカさに頬がゆるむ。
スポンサーサイト
主人公・鈴木は、人数合わせで連れて行かれた合コンで出会ったマユに一目惚れ。
何回かグループデートを重ね、ちょっとずつ仲良くなり、とうとうつきあう事に!
初めてできた彼女に、幸せいっぱいな気持ち、初々しくて微笑ましい数々の光景。という前半。

就職で静岡を離れ、東京に出てきた鈴木とマユは遠距離恋愛を続けるが、鈴木には東京での新しい世界が広がり・・・。

と書くと、ただのよくある恋愛を書いた何の特徴も無い話に見えるが、読んでいてところどころに小さな引っ掛かりを感じる。
というのも、そもそも本の裏表紙に「最後から二行目で、本書は全く違った物語に変貌する」と書かれているので、読み手は引っ掛かりを探しながら読んでしまうのである。

それが最後に「あー!ナルホドね!」というそれまでの話がクルリと引っくり返るオチがあって痛快だ。思わず、2度読んで、それまでの引っ掛かりをいちいち確かめてしまう。
というイミでは、この本の帯にあった「必ず2回よみたくなる」というのは当たっている。

しかし、このテの技は、繰返し読み返すのには向いていない。
ストーリー自体は抜群に面白いワケではないので1度読んで、検証用に1度読み返したらもう再読はしないだろう。
バブル時代の物語で、出てくる話題や小物がなつかしく、1回目を楽しんで読むことは十分できる。

こういう技が好きな人は、「葉桜の季節に君を想うということ (歌野 晶午)」や「ハサミ男 (殊能 将之)」、「アヒルと鴨のコインロッカー (伊坂 幸太郎)」もオススメ。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。