日々の読書

日々、つれづれなるままに読んだ本の、感想おきば
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旅で、日常と異なる場所で、誰かとすごく楽しい思いを共有する事があると、その景色や空気や楽しかった気持ちが鮮やかに残る。

この本を読んだあと、それを思い出した。

あらすじは、小学5年生のハルが、長く会っていなかった自分の父親に「ユウカイ」されていろんな場所を放浪する、というもの。どうってことはない話だ。
この話がすごいのは、そのどうってことない話の中にちりばめられた、ハルの「気持ち」の描写だ。

直木賞受賞作の「対岸の彼女」同様、実にカンタンな言葉で誰もが身に覚えのある気持ちを書くので、読者は思わず自分の体験を思い出してハルの「気持ち」を文で書かれている以上に味わってしまう。

ハルはユウカイ中に、おとうさんの事を好きになる。(父親として好きになる、というより人として好きになるような「好き」なのだが)
ハルが体験したユウカイは、ハルにとっては後からも鮮やかによみがえる思い出になるのだろう。
人を好きになるって、その人と一緒に楽しく過ごすって、こういう気持ちだよな、と思い出す事ができる、とてもカワイイ1冊だ。

また、この話の季節は夏である。
強い陽の光、浮かぶ雲、木の濃い緑・・などなど、とてもわかりやすい夏の描写がたくさん出てくる。
ありふれた言葉なのに、陳腐ではなくたしかに夏をあらわし、夏を思い起こさせる。痛いくらいまぶしい昼間や、ぬるくてしっとりした夜。私は何度も、たのしかった自分の夏の思い出を思い出しながらこの本を読んだ。

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帯に「ベストセラー30万部突破!書店発、感涙の恋愛小説」とあって、思わず買ってしまったが・・・うーん。

もともとあまり恋愛小説で「これぞ!」というのに出会ったことがない。
なので、今度はどうだろう?と期待したのだが、どうものめりこめなかった。

主人公の中年女性医師の前に、元恋人が7年ぶりに現れる。
元恋人は、実は余命3ヶ月の末期がんで、主人公は、同僚の婚約者がいるのだが、心ゆれてしまう・・といった話だが、文章が上っ面をすべっているようで、読後、夢の中の出来事みたいにあやふやな印象しか残らなかった。

文:○ ストーリー:○

森絵都というのは、初めて読んだ作家さんだが、面白かった。最初の1冊が面白いと、「こんど見かけたら他の本も買おう」リストに追加される。楽しみが増えるようでうれしい。
児童文学畑の方のよう。道理で、文章が読みやすくてわかりやすい。平易だけど、下品ではない。


死後の世界をただよっていた「ぼく」が、抽選に当たったとかいうワケわからん理由で、再び現世に戻り、自殺した「小林 真」少年として、生きることに。
本来なら「ぼく」は、生前の罪とやらのため、二度と生まれ変わることができない魂なんだとか。

が、このチャンスをものにして、「小林 真」として生き、その間に、自分の生前の罪とやらを思い出すことができたら、輪廻の輪に戻してくれて、ふたたび生まれ変わることができるという。

そう説明してくれたのは、天使。
この天使にいろいろアドバイスをもらいながら、「ぼく」は、「小林 真」として生活をはじめる。

自殺した少年だけあって、「小林 真」の周りはなかなかすさんでいる。周りの人の本性=イヤ~なところがだんだん見えてきてげんなりするのだが、後半、そうではない部分も見えてくる。

これがタイトルにもなっているテーマで、人間は、みんないろんな色を持っている、と。
キレイな色も。汚い色も。

「ぼく」の語り口調による、軽快でユーモラスな文体。すごく読みやすい。
「ぼく」にとっては、所詮、すべて「小林 真」という仮の体の出来事なので、常にどことなくつきはなした、適当~な言い方。その距離感がここちよい。

軽いけども、決して内容がないわけではない。大切なことをあくまで軽~くさらりと、この本はいう。

天使は、人生をちょい長めのホームステイだと思えばいい、と「ぼく」に言う。
ステイ先は選べないし、自分からリタイアも辞退もできないけれど、ルールはない。与えられたステイ先で、せいぜい数十年、好きにすごせばよいのだ、と。
そんな風に考えられれば、楽に生きられるような気がしてくる。

キャラ:◎ ストーリー:○

仕事が忙しくて、毎日終電コース・・・・

帰宅すると、24時すぎ。
そこからご飯、お風呂・・とそれでもう1時をこえる。明日も朝が早い。目をつぶったら3秒で寝れる・・・。

が、思わずそこで、本棚から本を一冊、手にとってしまう。
私にとって、本というのは、現実がどんな時でも、その世界にひきこんでくれるありがたいアイテムなのだ。

本棚にある本は、何度も読み返していて、どれも馴染み深い。
体が自然に必要な食べ物を欲するように、背表紙を見ながらどれを読もうか・・と見ていくと、そのときにピッタリな本に自然に手が伸びる。平日の夜にささっと読むのはやっぱりマンガがいい。

北大獣医学部の学生たちと、ヘンな教授と動物たちのほのぼのコメディ。
「静かなコメディ」というと変だが、丁寧でキレイな絵と、どこかずれた登場人物たちが、おかしなテンポで静かに笑いを誘う。動物たちも可愛らしい。
1話ずつ独立して読めるので、眠くなったら途中で寝よう。
この日は文庫版の7巻を読み、101話で爆笑。夜中に一人で声をあげて笑ってしまった。

主人公とその学友が、オペラ「トスカ」にノーギャラでボランティア出演するが、少ない予算、急な代役で混乱する現場に、ストーリーもよくわかっていない主人公たちがドタバタする話。読んだことがある人はニヤリと思い出し笑いするだろう。

「おまえストーリーを知ってるか」
「あんまり」

から始まり、

「なんか不安な舞台だよな」
「余裕のなさが失敗をよぶのよね~」
「貧乏と言うことそれ自体が失敗のもとなのよ~ 経験によると~」

という辺りでかすかに笑い、そのあとのドタバタで爆笑!!

・・・・で、幸せな気持ちで眠りにつくのである。
キャラ:○

元TBS女子アナ 雨宮塔子が、退職してパリで西洋美術を学んだ3年間のエッセイ。
雑誌Oggiに連載されていたようだ。

苦労したこと
感動したこと
小旅行、食べ物の思い出
のみの市への参加
やがて夫となるパティシエさんとの出会い

などなど、とりとめもない感じでつづってある。

著者の素直でまじめな感じに好感。
人生を本気で楽しもうとする気持ちに共感。
パリでの生活を「留学」ではなく「遊学」と言い切る。
遊ぶにも、一生懸命なのが、
そのために苦労するのは覚悟の上、という姿勢が、よい。

当時30歳、と今の私の年齢に割と近いこともあり、同じようにカワイイと思ったり、気持ちに共感できて読みやすかった。

留学のHowTo本という感じではない。気軽に読める異国エッセイ。
パリの雑景や、著者のポートレイト風の写真もオシャレで読みやすい。


後輩が貸してくれた時、本のタイトルを「金曜日の狩り」と聞き間違え、パリに留学した著者が、フランス人のいい男探しにいそしむ話なのかと最初、勘違いした。
全くそんな話ではなかったが、さすがフランス人、地下鉄の階段をあがったら、見ず知らずの男性が「やあ、待ったよ」とふつうに声をかけてきた、とかいうエピソードもある。
しかも見た目もかっこよかったらしく、著者は思わず「ごめん、待った?」と言ってしまいそうだったという感想が面白い。

ストーリー:◎

雑誌掲載時は連作の短編だったらしく、「彼女」と「彼」それぞれが一人称の物語が、交互につづく。
「彼」の名は、木島悟。絵を描くが好きなサッカー部員。いい加減で社会に居場所を作れなかった父親のようになりたくないと思いつつ、本気になって自分の限界を知るのがこわくて、サッカーでも絵でもそこにぶつかってしまう。
「彼女」の名は、村田みのり。頑固で妥協しなくて、家族も学校もキライなものだらけ、叔父だけが特別に大事で、絵を描く叔父の影響で、自分では描けないけれど、絵が好きであると自覚している。
そんな2人が、高校で、出会う。
どちらかというと私は、みのりを中心に読んでしまう。
中学の頃から、みのりが周りとぶつかり、家族も友達も好きになれずにいるのを見ている。
そんな彼女が彼を好きになる時!そこを読むとき、

恋をした!!私の小さな娘が、とうとう恋をして、「好き」ができた!!

と、思わず喜んでしまう。
そのうち、みのりに対しては、娘というより、自分に重なり、
『木島はすぐに見つかった。なんか、目に飛び込んでくるって感じ。特に騒々しいわけでも、背が高いわけでも(略)ないのに、まるで光でも発しているみたいにパッとわかる。わかると胸がじーんとする。不思議。木島がそこにいるってわかるだけで深々と幸せになれるこの気持ちは不思議。』
というあたりでは完全に、知っている・・・この気持ちを、私は知っている、と自分の片思いの思い出と混ざってしまう。
ちょっと甘くてわざとらしいまでに青春くさいけど、鼻につくような感じではなく、それを楽しめる作品。

佐藤多佳子の本は、まっすぐなメッセージが多い。
彼の祖父が、彼に向かって言うセリフ、迷っている時には心にささる。
「好きなことをやるんだ」
「最後は自分だけだ。誰かのせいにしたらいけない」

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