日々の読書

日々、つれづれなるままに読んだ本の、感想おきば
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「点と線」と並び称される著者の代表作。
昭和30年代の物語。この時代をよく知らない私が読んでも、描写に違和感がないので、上手な文章なんだと思う。

主人公・禎子が見合いで知り合ってよく知らぬまま結婚した夫が、新婚旅行直後に、失踪してしまう。
東京と金沢を仕事で往復し、毎月20日間近くを金沢で過ごしていた彼は、結婚を機に東京に戻る事にし、仕事の引き継ぎに金沢へ出張したまま予定の日になっても帰って来ない。
金沢へ夫を探しに行った禎子は、金沢での夫の知り合いをたずね、行方を調べようとする。手がかりのようなものがつかめていくのに、夫の事を何も知らない禎子にはその手がかりが指すものがわからず疑惑だけが残り、また、手がかりをつかんだと思ったら関係者が次々に殺され、なかなか物語が進まない。それが読んでて不快なのろさではない。

この物語のゆっくりさ。
徐々に明らかになる夫の金沢での過去至極冷静に見つめる禎子の静かな視線。(解説では、「普通夫のそんな一面知ったらもっと怒るだろー、物語としておかしい」と書かれているが、あまり人間味の無いこの冷静さがこの物語には合っててよかったと思う)
暗い冬の北陸の陰鬱な雰囲気。
昭和30年代の古くさい感じ。

これらがあいまって、冷たく暗い雰囲気が全体的にただよっていて、それを楽しめた。
犯人や動機には、当時の社会問題が背景となっているようだが、そんな理由でここまで人を殺すか?とやや共感しにくい。古い作品なので、当時はしっくり来るものだったのかも。


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