日々の読書

日々、つれづれなるままに読んだ本の、感想おきば
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昭和25年、金閣が寺僧の放火によって消失した事件を素材にした作品。

虚弱で吃り癖のある主人公は、幼い頃に父親から金閣の美しさを聞かされ、醜い自分へのコンプレックスと共に、極端な美へのこだわりを抱えて、生きる。
鹿苑寺の寺僧となり、金閣を目の当たりにしても、その美は彼の根底に根ざし、彼の行動を、心をしばる。

これ書いた人は、A型・山羊座でしょう~!と言いたくなるような、緻密で、妥協がなくて、完璧主義で・・・・読んでて窒息しそう。
全体的に、主人公の鬱屈した負のエネルギーが充満している。

いろんな出来事や、人との出会いで、様々に揺れながらも、終局へ向かう、止めようのない一直線な緊張感が疲れる。
主人公の偏執的な思考が、私にはどうも合わなくて、名作なのかもしれないが、とても読みづらかった。
この、美に対するちょっと特殊な感性は、肌に合わない人も多いだろう。
もう少し時間をおいて、また読んでみたい。

主人公が大学で出会う友人、柏木。
両足が奇形で、それ故に、独特な思想を持っていて、この青年の語る思想は、いちいち面白かった。

「俺は君に知らせたかったんだ。この世界を変貌させるものは認識だと。いいかね、他のものは何一つ世界を変えないのだ。認識だけが、世界を不変のまま、そのままの状態で、変貌させるんだ。認識の目から見れば、世界は永久に不変であり、そうして永久に変貌するんだ。それが何の役に立つかと君は言うだろう。だがこの生を耐えるために、人間は、認識の武器を持ったのだと言おう。動物にはそんなものは要らない。動物には生を耐えるという意識なんかないからな。認識は生の耐えがたさがそのまま人間の武器になったものだが、それで以て耐えがたさは少しも軽減されない。それだけだ。」

柏木の思想は、主人公の負の鬱屈を開放しようとするが、結局はダメだった。

主人公と、この柏木、両方が、作者・三島の分身なのだろうか?
内面的にはちょっと怖いくらいに一途でアツいモノを持ち、けれど賢かったから、理論的には柏木のような考えをし、心の内の破滅に向かう衝動の行為を抑えていたのかしら?と思ってしまった。
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