日々の読書

日々、つれづれなるままに読んだ本の、感想おきば
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
息苦しいほどの柏の葉の緑。
その葉で黒く染めようとした糸が、思わぬ鮮やかな珊瑚色になる・・・とか。。

さやえんどうの若くてみずみずしい緑、とか・・・
この人の小説では色がとても印象に残る。

蓉子、与希子、紀久、マーガレット。
4人の女性が、古い日本家屋に下宿する。
そこは、蓉子の亡くなった祖母の家。網戸もエアコンも無い、あたたかい木の手触り。庭に咲く花、野草たち。そこは時が止まったような空間。

4人はいずれも、手仕事を好む。
草木を使って糸を染めたり、機織りをしたり、羊毛をつむいだり・・・。

そして、かつては話すことができた、という蓉子の持つ市松人形、りかさん。

おだやかな4人の生活が、日本家屋のやわらかい情景と共に、丁寧につづられて和んでいると、後半は一転、オカルトというかファンタジーというか、過去からの因縁がつむがれ、意外な展開に。
それに、織物の歴史やそれを支えた名もない女性たちへの考察が入ったり、異国からの手紙が混ざったり、ナンダこの展開は??と思っているうち、ラスト、激しいあでやかな1枚の画(え)をまぶたにやきつけて、終わる。

ぎっしり詰め込まれてるけれど、読んでて不快にならない。織物や手仕事、異国の文化に対して、著者の考え方が深くしっかりしたもので、それを重くならず、けれどしっかりと書いているからだろう。なんとも言えない不思議な印象が残る。
この作家さんは、もう少し読んでみたい。
本作は、「りかさん (新潮文庫)」という本の、続きらしい。次はそれかな。

スポンサーサイト
映画スターウォーズで、レイア姫が、ハン・ソロ船長と共に敵に捕らわれ絶体絶命の時、愛の告白を、する。
"I Love you"
それに対し、ハン・ソロは
"I Know"

なんとゆう洗練された、スイートな返し方なんだろう!と感動した。イイ男たるもの、自分への真剣な愛に「気づかない」ではやはり済まされない。しかし勘違いもいかん。自分も好き、相手も自分を好き、という確信があるという両想いにだけ許される返答。

この本でも、おばあちゃんと、孫娘・まいの会話において、
「おばあちゃん大好き」というまいに対して、イギリス人のおばあちゃんは
「アイ・ノウ」と微笑んで答える。
すごくスイートなやりとりだなあ、と思う。これは、日本語ではなくやはり、英語で言うのがよい。

モノクロなイメージの「名短編、さらにあり」のアトで、反動で、ひたすらに明るいモノが読みたくなった。そんなときに、本棚をあさって手にとった1冊目が村上龍の「69」。2冊目が、これだ。「69」が極彩色なら、こちらはパステルカラーの明るさ。
ほのぼのとしたいい話、何度読んでも最後は泣けてしまう。

物語の、最後の一文が、私の好きな「アイ・ノウ」である。その効果的な使い方。是非直接見てほしい。

中学校のクラスメートと人間関係がうまくいかず、登校拒否になった「まい」は、山の中に住むおばあちゃんの家でしばらくを過ごす。
おばあちゃんは、豊かな自然の中で、一人暮らし。
野いちごでジャムを作ったり、ハーブティーを淹れたり、ラベンダーの茂みにかぶせて清潔な匂いのするシーツ、朝は産みたて卵の目玉焼き。
庭にあふれるハーブ、日当たりのよい木の切り株、ルビーのような野いちごの群生、鳥の声。
美しい、というより可愛らしく描かれる、豊かな自然。

仕事で毎日終電帰りの今の私が、うっとりしてしまうような生活が、ここにある。
丁寧な日常生活が、可愛くて美しい自然描写が、宝物のような1冊。

おばあちゃんは、自分は魔女だと、まいに打ち明ける。
それは空が飛べるとかそういう類の派手な魔法を使うのではなく、身体を健康に保ったり自然と共存する知恵や知識、それにちょっとした特殊な能力。そんな、リアルな魔女。
「私も魔女になりたい」というまいに、おばあちゃんの課した課題は
「早寝早起き」「食事をしっかりとる」「よく運動」「規則正しい生活」そして「自分で決める」「決めたことをやり遂げる」
いたってシンプルな、けれどとても難しいこと。
おばあちゃんの家でこの課題にそって生活していくうちに、まいは、生きていく力を身に付ける。この課題は、一生彼女を守ってくれるだろう。

おばあちゃんと、不本意な、気まずい別れ。
そして訪れる、本当のお別れ。
けれど、おばあちゃんは、西の魔女は、まいとの約束を、忘れていなかった。
このラストが。
あっさりとしたラストなのに、すごく心に残る。簡単な伏線なんだけど、とても響く。

タイトル通り、まいが「西の魔女」と呼ぶ、おばあちゃんが死んでしまう話なのだけど、人が死ぬ話なのに、この本は、明るい。

これを読むと、思わず、生活をきちんとしたくなる。
久々の料理。野菜を煮込んでみた。
半年ぶりに・・・・掃除機を、かけてみた。


ストーリー:◎
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。