日々の読書

日々、つれづれなるままに読んだ本の、感想おきば
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
キャラ:◎
坊っちゃん文学賞受賞作。私にとっては2冊目の瀬尾まいこ。1冊目の「幸福な食卓」にあまり魅力を感じられなかったのだが、もう1冊、と手にとってみたこの本は大ヒット。この、本に対する、合う、合わない、の相性は何なのだろう?

みずみずしくて、可愛らしい文章がストーリーにぴったり。登場人物のキャラクターがそれぞれ魅力的で、気がつくと好感を持ってしまっている。こういう書き方ができる人は、ふだんから人のよいところを探せて、表現できる人なのだろう。著者は中学の現役国語教諭らしい。こんなあたたかい目で見守られる中学生がうらやましい。

●自分が捨て子だという疑う小5の育生(いくお)は、母親に、捨て子でないと言うなら、その証拠に「へその緒」を見せてくれ、と頼む。
あっけらかんとした母親は、卵の殻を持ってきて、「母さん、育生は卵で産んだの。だから、へその緒じゃなくて、卵の殻を置いているの」と言う。

明るくて、料理が上手で、息子への愛情を、言葉でも行動でもめいっぱい表現する母親。
自分は捨て子と確信しつつも、母親のあふれんばかりの愛情を一身に受けて、素直で優しくマジメな息子。
魅力いっぱいのこの2人の母子家庭の様子が、みずみずしい文章で描かれて、読む人を笑顔にさせる。

『すごーくおいしいものを食べた時に、人間は二つのことが頭に浮かぶようにできているの。一つは、ああ、なんておいしいの。生きててよかった。もう一つは、ああ、なんておいしいの。あの人にも食べさせたい。で、ここで食べさせたいと思うあの人こそ、今自分が一番好きな人なのよ』
なんて事を、私も自分の息子に言いたい。
母親のこの台詞、すごく好きだ。真実をついている。

『夕暮れでも海でも山でも、とことんきれいな自然と一人じゃないって確信できるものがある時は、ひとりぼっちで歩くといいのよ』
なんて事も言ってみたい。

私はまだ子育てを経験していないけれど、このハナシを読んで、子供を育ててみたい、と思わず一瞬思ってしまった。

スポンサーサイト


吉川英治文学新人賞受賞作。読みやすく、言葉もストーリーも優しく、飄々としているけど切なくもあり、だけど私とはあまり相性が合わなかった。再読したいとは思わない。

●女子高生・佐和子は、父、母、兄、佐和子の4人家族。必ず全員そろって朝ご飯を食べるし、家族同士でいろいろ話をするし、お互いに愛情をもって接している。とても優しい。
でも、父親は自殺未遂の経験があるし、母親はそれによって父親と一緒にいることがどうしてもできない精神的な病で家を出ているし、兄は非常に優秀だけど何事にも真剣になれないでいるし、私にも問題がある。
だからと言って、家庭がすさんでいるわけではなく、家族はそれぞれ相手のことを思いやり、かわされる会話は穏やかで可愛らしい。

卵の緒」の方は、この穏やかで可愛らしい文章がぴったり来たのだが、この本は、内容的にはかなり深刻な話題を、なぜか淡々と優しい文章で書かれているのが、どうもしっくりこないのが、相性が合わなかった原因かしら。

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。