日々の読書

日々、つれづれなるままに読んだ本の、感想おきば
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ストーリー:◎

2007年に啓文堂書店おすすめ文庫大賞に選ばれベストセラーとなった短編集。
『これを「おもしろくない。」と言うならば、もうおすすめする本はありません。』という強気なオビの文句に惹かれて購入。

タイトルから、ほの淡いファンタジーを想像していたら、全く違った。
星新一のショートショートを彷彿させる、日常生活を描いてるようで、読み進むうちどこかがズレてゆく奇想天外な物語たち。

郊外に買ったばかりのマイホームで、妻が「だれかいる」と言い出す。
夫は、出産・引越しと立て続けに忙しかった妻の幻覚だと相手にしないが、ある日、自身が、深夜に、洗面所で歯を磨く見知らぬ男に遭遇。
男は「どうも」と挨拶し、床下に消えていった。
床下に見知らぬ男が住んでいる。超・異常事態なのに、なぜかすんなり受け入れてしまい、まあいいかと放置することに、なるのだが・・・・。

こういう物語は、あらすじを書けないトコロがつらい。

主人公である夫は、仕事が超多忙。
定時で帰ろうと思った日も、満員電車で出勤したら一服する間もなく早朝会議、得意先からのクレーム電話が次々とかかってきて、電話に会議に来訪者の応対、気がつくと夜の九時、さらにそれから出張の準備・・・・・。
妻と子と、一緒にいる時間もない。
それを妻に、糾弾される。

『あたしたちを養うために、あたしたちといっしょにいられない。それって一見、理屈が通ってるようにみえるけど、でも、それじゃ、なんのためにあたしたちは結婚したわけ?なんのために家族になったわけ?一緒にいたいから家族になったのに、その家族を維持するためにいっしょにいられない。そんなのって、どこかおかしいと思わない?』

この指摘、するどい。

全編をとおして、働き方と家族のあり方についての物語である。
ユーモラスな雰囲気、簡潔で読みやすい文章とヘンなストーリーが楽しくてサクサク進むが、ふと立ち止まると、するどい風刺を感じ、思わず考えてしまう。
わかりやすい物語にするためか、登場人物の意見はどれも極端で、あまり感情移入できないが、ショートショートらしく、共感して読むというより、自由な発想のストーリーを楽しめば面白いと思う。

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