日々の読書

日々、つれづれなるままに読んだ本の、感想おきば
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先日読んだ、瀬戸内寂聴の「藤壺」の前書きで、寂聴が「輝く日の宮」の偽作をはじめてまもなく、丸谷才一がこの小説の中で同じ帖の偽作を含んだ小説を発表しており、『丸谷さんの国文学の教養のすべてを賭け、丸谷さんの小説家としてのテクニックのあらゆる秘術を総動員して書かれているので、面白くない筈はありません』と紹介されている。

で、最近、源氏物語づいているので、これも読んでみた。
たしかに面白かった。

●杉安佐子は大学に勤める国文学者。専門は19世紀文学で、学会で、「松尾芭蕉がなぜ奥の細道旅行で東北地方へ行ったか?」について発表したりする。
後半では、源氏物語には「輝く日の宮」という帖があり、そこに光源氏と藤壺の宮が初めて結ばれるシーンが書いてあったと考え、それについてライバルと論戦したり、なぜこの帖が欠損したのか?を推理する。
そんな中、旅の途中、ローマ空港で出会った男性と、恋をしたり。


知的好奇心が充実している時に読むのがよい。
「かういふ哲学みたいな・・」とか「ないでせう」というような旧仮名づかいだし、古文の文法について書かれていたり、学会の論戦でだらだらと学者同士の話が続いたり、とテキトーにパラパラ読みたい気分の時には向かない、気合が必要な1冊だが、読み応えはすごくある。読めば、面白い。章ごとに話し手や文章のスタイルががらりと変わる書き方も実験ぽくて面白い。

最後には、平安時代に時がさかのぼり、紫式部と藤原道長の会話が、安佐子の想像なのか、本当にあった会話だったのかどちらともとれるように出てきて、紫式部が「後世生まれ変わることがあったら、『輝く日の宮』を書き直すことに致しましょう」と言い、それが現世で、『輝く日の宮』を再現しようとする安佐子へとつながる。
安佐子は紫式部を追い、紫式部は安佐子へつながる、という流れがうまくまとまる感。


ロマンチックな描写もあって、安佐子が中学生の時に書いた小説に登場する、主人公の少女の婚約者の男性は、トーストのような男くさい匂いがする若者、とある。
そして、安佐子がローマで出会った男性に、この話をすると、男性は「それはぼくのことだ、ほら、焼きたてのトーストの匂い、するでしょう」と言われ、ホテルの部屋まで送ってきたあと、
「トーストの匂ひ、はいつてもいいですか?」と男性に言われ
「どうぞ。食べてあげる」
というやりとりとか、とてもオシャレだ。

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