日々の読書

日々、つれづれなるままに読んだ本の、感想おきば
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日本名城伝につづく、私にとって2作目の海音寺潮五郎作品。

戦国時代の希代の快男児、前田慶次郎を書いた小説。
さわやかで無邪気で自由な男っぷりが、ステキだが、前田慶次郎モノでは、先に漫画の「花の慶次」を読んでしまっており、それに比べると華々しさが物足りない。「花の慶次」の方が1つ1つのエピソードが派手で面白かった。

前田慶次郎が恋をした自分に当惑するシーンの書き方がかわいらしい。おのれの精神をしばるものは何であれ許せず、恋なんて出来ないだろうと決めつけていた彼が・・・


「一体、この気持ちはなんであろう。一人の男が一人の女のことをたえず思い、たえず気にし、たえず胸をわくわくさせ、そのわくわくは、苦しく、また切ないが、一種の快さを持っている。-伊勢物語によると、かかる気持は、つまり、エヘン、恋である。源氏物語によると・・・・・また恋としか鑑定のしようがない。古今集に照らし合わせてみると、そうだな、やはり恋と断定せざるを得ない・・・・・・」
 これまで読んできた、あらゆる国文学の典籍全部に照らし合わせてみたが、そのいずれも同じ結論が出た。(略)
「おどろいたなあ。おれが恋をするとは!ほう、おれが恋をするとは!・・・・・・」』


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文:○ キャラ:○

初めて読んだ海音寺潮五郎。
mixiの司馬遼太郎コミュニティで、司馬遼太郎好きにススめる他の作家として紹介されていたので読んでみた。城好きでもあることだし。

読みやすいしっかりした文章、史料をものすごく読んでる人だーという印象。

熊本城、高知城、姫路城、大阪城、岐阜城、名古屋城、富山城、小田原城、江戸城、会津若松城、仙台城、五稜郭の12個の城にまつわる史実を紹介する。
城で起こった事件や、城主またはその周辺の人のエピソードやら、そこから派生した逸話やら、1つの城からはじまっていくつもの歴史小話をくるくる味わえて面白い。

その城を訪ねたときに、「ここがあの舞台か」などと思い起こすものがあると、楽しいだろう。

あとがきに
『日本人に出来るだけ歴史知識を持ってもらって、正統歴史文学の育つべき素地を培養したいとの、かねての念願にも合致させたいと思った・・・』

高校生まで、私にとって歴史とは、教科書を覚えることだった。
が、大人になってこの本のような歴史文学を読むと、歴史とは、生きた人々の起こすドラマで、現実世界で起こる天災や偶然、そして人々の気持ちや行動の結果なのだと、だから、あるとき、ある人がとった行動や信念は、同じ目に遭えば参考になるし、自分と同じ世の話だと思うと、面白い。
歴史とは、何千年もの間の、多くの人の物語だから、1人の小説家が考え出すものよりはるかに感動できたり、残酷だったり、そんな事件が山ほどころがっている。それを知らずに過ごすのはもったいないと思う。

盛り沢山な内容はうれしいが、日本史に全く興味がなく、戦国武将の1人も知らなーいという人には、初めて聞く名前ばかりで若干つらいかもしれない。
「あの人に、その娘に、子孫に、先祖に、こんな逸話があったのか・・!」と楽しむには、ある程度、事前知識があった方がよい。

ガラシャ夫人の旦那・細川忠興の娘も父同様すごく嫉妬深くて、旦那と密通した侍女を焼けた火鉢を何度も刺して殺してしまってるとか、徳川3代将軍家光が名君と言われるのは、優秀な家臣たちが必死で宣伝していたからで実際はあまり賢くなかったとか、「へー!」の連続。

著者の歴史観で、戦国時代にはだましたり、不誠実な事はそう珍しくなかったが、大成する人物は器が大きく、そうそう小ずるい事はしない、というのが面白い。
『どんな時代にも、人は不信義な人間や不誠実な人間をきらうのである』

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