日々の読書

日々、つれづれなるままに読んだ本の、感想おきば
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みをつくし料理帖シリーズ4作目。
人と思いやって、真剣に自分と向き合い仕事に精を出して生きることは、ステキな事だ、と思わせてくれる名作。ヘタすると鼻につく押し付けがましさが出がちな人情バナシを、絶妙なバランス感で描く。

身分違いの恋を胸に秘め、料理という生業に日々努力する主人公の澪(みお)。数々の苦境をのりこえ、健気な澪と、それを支える周りの人々のあたたかさ、そしてきびしさの描写がうまい。

今回は冬だったが、季節の情景をうまく取り入れ、それにピッタリな料理の出し方も上手で、読み終わるとおいしい料理をつくって食べたくなる。誰かに食べてもらって「美味しい」と喜んでほしくなる。

汚い手で澪たちを苦しめた金持ち向けの料理屋・登龍楼と料理対決をすることになり、プレッシャーに苦しむ澪に、勝負や精進についてされたアドバイスがよかった。

澪のつとめる料理屋を手伝ってくれる老女・りうから。、
「勝負事ってのは厄介でねぇ、どれほど努力したとか精進したとか言っても負ければそれまで。勝負に出る以上は勝たなきゃいけない。そう思うのが当たり前ですよ。」
ただ、と続く。
「勝ちたい一心で精進を重ねるのと、無心に精進を重ねた結果、勝ちを手に入れるのでは、『精進』の意味が大分と違うように思いますねぇ」
「勝ちたい、というのは即ち欲ですよ。欲を持つのは決して悪いことではないけれど、ひとを追い詰めて駄目にもします。勝ち負けは時の運。その運を決めるのは、多分、ひとではなく、神仏でしょう。神さま仏さまはよく見ておいでですよ。見返りを求めず、弛まず、一心に精進を重ねることです。」

澪が想いを寄せる小松原はこう言った。
「勝つことのみに拘っていた者が敗れたなら、それまでの精進は当人にとっての無駄。ただ無心に精進を重ねて敗れたならば、その精進は己の糧となる。本来、精進はひとつの糧となるものだが、欲がその本質を狂わせてしまうのだろう」

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