日々の読書

日々、つれづれなるままに読んだ本の、感想おきば
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
海の美しい田舎で、少年が過ごした夏休み。そこで起こる殺人事件。
事件のトリックや動機はあまり納得がいかず、ミステリーとしてすごく面白い!わけではないが、少年と湯川准教授のやりとり、夏らしい描写、偏屈な少年が学ぶ意味・科学の楽しさを知り、負わされた重い枷に対して「いろいろなことをいっぱい勉強して、それからゆっくりと答えを探そう。僕は一人ぼっちじゃないんだから。」と思えるようになるラストが爽やかで良い。

少年の伯母一家の経営する旅館の客が、変死体で見つかる。
客は元警視庁の刑事。何のゆかりもないこの土地に、何をしに来たのか?なぜ殺されたのか?
客がこの町にやってきた理由を、東京で刑事たちが少しずつ明らかにしていく過程も、読み進むたびに手がかりが増えていくのが快感。

科学についての湯川の言葉。

「人類が正しい道を進むためには、この世界がどうなってりうのかを教えてくれる詳しい地図が必要だ。ところが我々が持っている地図はまだまだ未完成で、殆ど使い物にならない。だから二十一世紀になったというのに、人類は相変わらず間違いをしでかす。戦争がなくならないのも、環境を破壊してしまうのも、欠陥だらけの地図しか持ってないからだ。その欠けた部分を解明するのが科学者の使命だ」

それを「僕には関係ない」と言う少年に対してさらに、人類というと大げさに聞こえるが、人が何か行動するときの選択に科学が必要だ、と教える。
たとえば海に行く予定があれば晴れるかどうか天気を知りたいだろう、と。
その天気予報だって、地元の漁師が天気を知るのだって、科学だ。理科の勉強が役に立たないなんて、天気図の見方を覚えてから言うべきだ、と。

「理科嫌いは結構だ。でも覚えておくことだな。わかんないものはどうしようもない、などといっていては、いつか大きな過ちを犯すことになる」

そして物語ラストで、少年にかける言葉。
「どんな問題にも答えは必ずある」
「だけどそれをすぐに導き出せるとはかぎらない。人生においてもそうだ。今すぐには答えを出せない問題なんて、これから先、いくつも現れるだろう。そのたびに悩むことには価値がある。しかし焦る必要はない。答えを出すためには、自分自身の成長が求められている場合も少なくない。だから人間は学び、努力し、自分を磨かなきゃいけないんだ」


★★★☆☆真夏の方程式-----東野圭吾
スポンサーサイト
動きのあるドラマチックなミステリーを、わかりやすい文章で一気に読ませてくれる。
読みやすい事は読みやすいが、ストーリーはありきたりだし、登場人物にもあまり魅力を感じなかった。
この人の作品は2~3個しか読んでいないが、どれもそんな感じがしてあまり好きではないかもしれない。

氏家鞠子、小林双葉。2人の若い女性の視点で「鞠子の章」「双葉の章」と交互に物語が進む。
鞠子は北海道の地で、大学教授の父、優しい母に育てられたお嬢様気質の娘。
双葉は東京で、ちゃきちゃきした看護婦の母と暮らす、アマチュアロックバンドのボーカル。活発で大胆。
何のつながりもないはずの2人は、ある事件をきっかけに、それぞれ、自分の出生を探り始める。
2人をつなぐ糸が徐々に明らかになり、鞠子は東京へ、双葉は北海道へ移動し、東京と北海道を舞台に、調査に協力してくれる人や、大物政治家の影が見えたり、敵か味方かわからない人物が次々と現れ、2人の過去が明らかになってゆく。

「現代医学の危険な領域を描くサスペンス長編」と裏表紙にあるが、テーマとなる科学の悪用についても、それほど掘り下げた感じがしないし、医療ネタとしても「おおっ」と思える新鮮な驚きがなかった。1996年出版当時は新しかったのかもしれない。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。