日々の読書

日々、つれづれなるままに読んだ本の、感想おきば
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日記調で淡々と、ひたすら時系列に出来事が細かく書いてあり、読むのがつらかった。物語としてアツく思い入れを持てない。

たとえば、勝海舟の部下達が仕事への不満で辞表を出したのに対して勝がいさめる手紙を書くくだりがあるが、その結果、部下達が思い止まったのか、辞めたのかの記述はなかったり。
勝の塾生の果し合いという物語に何の関係もないエピソードに頁が割かれたり。

文章としては簡潔で読みやすいのだが、ストーリー性がない。これだけ調べて克明に記述されていることはすごいと思うのだが。登場人物も多いのに、ゴチャゴチャした書き方で読みづらい。でも著者はこういう手法で書きたかったのだろうと思われる。

薩摩と英国の戦のシーンは面白い。ナメるな!という薩摩の気迫が小気味よい。スカッとする。

勝は希代の外交官。外人相手ではなく、日本人相手にしても、この本には出てこなかったが坂本竜馬も勝を暗殺しに来てハナシを聞いて弟子になっちゃったとか。
外交の極意は「腹蔵なく話す」こと。
これは、今私が携わっている、顧客のシステムを委託されて運用する仕事でも一緒だなあ、と思った。お客さんといい関係を結びたかったら、いい仕事がしたかったら、本当の事をつつみ隠さず言うのがいちばん早い。変に良く見せようとしたり、汚点を隠そうとすると、長い目で見ると、損だ。
人間関係全般に言える事なのかもしれない。

勝は、死を覚悟で沸騰しているような長州へ和睦の使者として出向いたり、刺客が来てもその気合をくじいたり、剣術を学ぶとそんなにも心が鍛えられるのか!と感心する。

また、幕府のためにものすごくがんばるのに、それなのに将軍・慶喜にもあまり好かれず、悲惨だ。
しかし、それにもメゲず、信念の通りに骨身を惜しまず働き、維新後、下野してから徳川のために徳川銀行なるものをつくって経済的に救済したり・・・いったい勝のそこまでする原動力は何だったんだろう。

解説によると、著者は、人物伝記モノの第一人者だとか。
この本は読みづらかったが、他のを読んでみたい。
著者が人物伝記モノを好む理由を下記のように言う。だから、単調でも何でも、ひたすら勝の足跡を記述したんだなあ、と思った。

『私は小説をおもしろくつくる作業をする気はないが、好奇心につられ、謎のなかへはいりこんでゆくとき、小説を書く作業のおもしろみが、よく分かるような気になることがある。
人間とはなにか、どこからやってきてどこへ去ってゆくのかという、おそらく原初以来の人間が考えたであろうことを、私も考えつづけている。
決して答えは出ないが、過去の歴史を歩んだ人々の足跡を文学で辿ってゆくうち、ときどき霧がはれるように、人間の運命が見通せるような気になることがある。
それは、そんな気になるだけで、宇宙は沈黙しつづけている。』
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